日常の中の非日常



「ふぁ…」

いつも通りの遅い朝。(いや、昼だろ。)
欠伸をしながらリビング(という名のダイニング)へ入る。
「あれ?」
いつもならそこに居るはずのヤツも、そこにあるはずの匂いもない。
「…出かけてンのか?」
独りゴチながら、迎え酒宜しく冷蔵庫の中のビールに手をかける。いつもならヤツが小うるさくて出来ないこと。(…といっても一昔前は毎日こんなもんだったんだが)
ついでに食いもんを求めて冷蔵庫を漁る。

ふと。

妙な感覚に囚われる。
家の中にはヤツの気配がある。

「?」

まさかなー、なんて思いながら、ヤツの部屋のドアをおざなりにノックし、開ける。もしも居たときの予防策だ。

「おーい、八戒。」

…居やがった。
ベッドの掛け布は膨らんでいる。
「…具合でも悪いのか?」
顔を覗き込めば、ぱっちりと目は開いている。

「…いい…天気、ですよね。」
「んあ?…ああ。」
って、俺の問いはどこへ行った。

よくよく考えればビール置いてくればよかったな、とか考えながら、ヤツの枕元に腰掛ける。

「色々考えてたんです。
ああ、今日はシーツも洗濯してお布団干さなきゃ、とか。
買い物に行かないと、根野菜がそろそろストックなかった、とか。」
「お前さんらしいワ。」
「それなんです。」

は?

「なんだか、急に
僕らしくないことが…したくなったんです。」

どうしたんでしょうね、なんて綺麗な顔に苦笑を浮かべる。
おいおい五月病かよ…ってなことは口が裂けても言いません。ハイ。後が怖ェよ。

「…まぁ…たまにはいいんじゃねぇの?」
「…そうでしょうか。」
「いんだよ。いいことにしとけ。」
「…はい。」

不意打ち。そんな笑顔を俺に見せるな。
男のベッドだっつーのが余計にむなしくなる。

たまには、二人揃って日常の休日もかまわねぇだろ。




………BL風味…?
いや、そのつもりはなかったんだけど…八戒がベッドに寝てるのが悪い。うん。絶対そうだ(オィ