恋愛の行方
昔は俺も若かったもんで、
かわいー恋愛なんかもした。
今から思えば、10代の頃の恋愛は先が見えてたのかもしれない。
先が見えているからこそ、終わりが来るのが怖くて
ありえないほど沢山約束を交わして、
先の予定をいっぱい詰めた。 (今なら、そんな気がする。)
案の定、予定は消化しきれずに彼女の親の転勤で簡単に幕を閉じた。
可愛いなりに痛みの有る恋愛だった。
ガキなりに本気で好きだった。
納得が行く別れでもなかった。
今でもあの頃の痛みは無くなったわけではないけど。
同じ痛みは何度も感じるけど。
痛くない振りだけは巧くなった気がする。
・・・三蔵や八戒は信じちゃくれないが。
「・・・なにが言いたい。」
「三蔵・・・悟浄、振られちゃったんですよ。」
「げーっ、悟浄ダッセー!」
「・・・るせー!」
オレはすこぶる機嫌が悪いっつーの。
本気・・・かもしれない女だったのに。
「今までと同じだろうが。どう違うってんだ。」
「どうって・・・そりゃ・・・」
思い出せない。
あの頃と同じ感覚しか。
終わる予感を抱えて、その日が来るのを恐れて、楽しいこととか嬉しいことばかりを詰め込んで。
「成長してねぇんだよ、お前は。」
「まぁまぁ、押さえて。悟浄なりにいつも通りの本気だったんでしょう?」
「・・・わかんね。」
つか、いてーよ。おめぇらの台詞はよ。
少しは歯に衣着せろっつーの。
椅子の背もたれに額を当てて頭を抱え込む。
違ったのか?
オレは、その気だった。
少なくとも真剣だった。
・・・でも、終わりの予感はしてたンだ。最初から。
別れなきゃ本気なのか?
結婚すりゃ本気なのか?
惰性だったとしても?
相手に無理を強いたとしても?
「難しいところですね。」
苦笑しながら、俺の肩をぽんと叩いて八戒はキッチンに消えた。
ここまで匂いが漂ってきてるから、珈琲がすぐに届くだろう。
・・・こんなことに神経が回るあたりが本気じゃないのか?
彼女のことだけを考えてないからダメなのか?
「・・・俺、よくわかんないけどさ。」
猿が色恋に口挟むのは珍しい。つい、視線を走らせてしまった。
「悟浄がさ。そんだけ落ち込むのって珍しいじゃん。
それって、本気だった証拠になんない?」
・・・やるじゃん、猿。
それ、ビンゴだろ。
あーあ。
かわいそうな俺。
かわいそうな彼女。
暫くの間は、悲劇を気取って独り身を愉しむことにしよう。うん。
ややパラレルで。
ごじょさんの恋愛は成就が難しそうなので。
・・・というか、ちょっと人生振り返っちゃいました(ぇ)